都内で楽しむ。長野の地酒が飲める店

都内で楽しむ。長野の地酒が飲める店
仕事帰りのひとり酒、親しい仲間と料理を囲んでの一杯。そんなお酒を楽しむ至福の時間にぜひ味わいたいのが長野の地酒です。長野県は、豊かな自然に育まれた良質な米と雄大なアルプスの山々から湧き出る清らかな水に恵まれた日本有数の酒処。蔵元数も全国で2番目の多さを誇り、県内全域に広がる約80軒の酒蔵でそれぞれ個性溢れる日本酒を醸造しています。今回は都内近郊に暮らす日本酒好きや、ふるさと長野の地酒が恋しくなった方へ向けて、東京で長野の地酒の美味しさに触れられるお店を厳選してご紹介。気軽に立ち飲みできるスタンドバー、ご当地食材を使った料理と味わえる居酒屋など、さまざまなスタイルで楽しめる5軒をセレクトしました。いずれのお店も長野の地酒愛に溢れる店主が温かく迎えてくれるので、日本酒ビギナーも安心して好みの味を伝えてみましょう。

旬酒場 日がさ雨がさ(四谷)

長野の地酒を中心に全国の銘酒を多数揃える居酒屋。店長の宮澤さんは、毎年夏に四ツ谷を舞台に長野県内の蔵元が集結する日本酒飲み歩きイベント「大長野酒祭り」の仕掛け人として知られる存在です。その活動を通してご自身のふるさと長野の地酒を世に広める活動に取り組んでいます。店内で楽しめる日本酒は常時30銘柄。そのうち半数を長野の地酒が占め、すべて宮澤さんが試飲して厳選。「コンディションの良い状態で味わって欲しいから」と開封日を明記し、随時入れ替えて提供を行なっています。90ccのハーフサイズで気になる銘柄を少しずつ試せるほか、純米酒のふくよかな風味をリーデルの純米グラスで味わう特別オプションを用意するなど、日本酒好きの心を満たす心遣いが随所に光るお店です。

上田市「大桂商店」特製の醤油麹でいただくお一人様専用 ちょい刺盛(手前)。右奥から、長野産の希少な大豆の甘みがクセになるくらかけ豆のおひたし、小林わさび店謹製 葉さわびの醤油漬け、ほんのりとしたしょっぱさが日本酒に合う高村商店謹製 しょうゆ豆など、長野ゆかりの酒の肴が充実。日本酒は年間通してお燗でも楽しめます。右から、「黒澤 純米吟醸」、「今錦 特別純米酒 生原酒 おたまじゃくし」、「豊賀 純米吟醸 直汲み 無濾過生原酒 青ラベル」。
ビル7階の隠れ家空間
グラフィックデザイナーのモダンなポスターや日本画に彩られた店内。掘りごたつ席のほか、窓際の個室席も揃う居心地の良い空間です。
話題の銘酒がずらり!
右から、「御湖鶴 純米 無濾過生原酒」、「MIYASAKA 愛山」、「特別純米 棚田」、「信州亀齢 山田錦 純米吟醸」。

旬酒場 日がさ雨がさ

住所 東京都新宿区四谷3-9-11 四谷シンコービル7F
電話番号 03-3225-0267
営業時間 17:30〜23:30
定休日 日曜、祝日(たまに不定休あり)
アクセス 東京メトロ丸ノ内線四谷三丁目駅より徒歩すぐ
座席 テーブル23席、カウンター7席
「長野の地酒は個性豊かで一つの言葉では表現できない滋味深い味わいが魅力。多くの人にファンになってもらえると嬉しいです」と店長の宮澤一央さん

海山和酒 なるたか(水道橋)

長野の食材を活かした料理と地酒を味わえる和食居酒屋。日本酒は「水尾」や「笹の誉」などの定番15銘柄に加え、店長セレクトの5銘柄が揃っています。定番酒は最初の1杯、さらに月・火曜は何杯でもグラス390円で楽しめるサービスの良さも人気の秘密です。「造り手の想いをお店を通して伝えていきたい」と、店長自ら蔵元へ足を運ぶこともあり、そこから縁のつながった蔵元を中心に県内各地からバランスよく選んで提供しています。地域ブランドの信州ポークや福味鶏などを使ったメニューや蜂の子とイナゴの甘露煮といった珍味など、長野の滋味深い料理を肴に一献傾け、日本酒談義に花を咲かす時間を過ごしに行きませんか。

ワサビと柚子胡椒でいただくジビエ料理の鹿肉のロースト(右)、長野のブランド鮭、信州サーモンをオリーブオイルとハーブ塩でシンプルに仕上げた信州サーモンとアボカドのカルパッチョ(左)。この他、豊洲市場直送の魚介メニューも揃います。日本酒は右から、太いコクが伝わる「本金 純米酒」、米の旨みとフルーティーな味わいが人気の「黒松仙醸 こんな夜に 雷鳥 純米」、蔵元伝統のもち米四段仕込みで醸造される「勢正宗 純米酒」。
グループ使いにも対応
カウンター席のほかに半個室やグループに対応した完全個室も用意。東京ドームも近いので野球観戦の後に仲間と立ち寄るのもおすすめです。
長野の銘柄が集合
右から定番酒として提供する「水尾 一味」、「笹の誉 特別純米」、「和田龍登水 ひとごこち」、「十六代九郎右衛門 特別純米 ひとごこち」。

海山和酒 なるたか

住所 東京都文京区本郷1-15-2 三澤ビル1F
電話番号 03-5844-6775
営業時間 16:30〜24:00(23:00LO)
定休日 日曜、年末年始(東京ドームのイベントに合わせて営業する場合あり)
アクセス 都営地下鉄三田線水道橋駅より徒歩1分
座席 テーブル54席、カウンター6席
「店長としてお店を切り盛りしながら、ふるさと長野の地酒の魅力を伝えていきたいです」と話す松本市出身の阿久津貴秀さん。

酒と器 押上文庫(押上)

東京スカイツリーから徒歩圏の住宅地にある居酒屋。長野県出身の店主・竹下さんが試飲して選んだ長野の地酒が常時16種類ほど揃っています。定期的に入れ替え、有名蔵元だけでなく小さな隠れた蔵元の希少な銘柄も扱っています。今までに70件以上の蔵元の酒を仕入れたというから驚きです。銘柄によっては自家熟成をし、味に丸みと深みを加えるというこだわりよう。酒器は竹下さんが集めた骨董品や現代作家の作品が使われており、趣のある酒器でお気に入りの旨い酒を吟味しつつ、長野産の食材を使った料理を堪能しましょう。前日までの予約で、旬の料理を週替わりで楽しめる酒席コースもあリます。

鶏もも肉の味噌煮(右)は長野産の味噌を使用し、コクのある味わい。信州産椎茸焼き(左)は肉厚でジューシー。長野産の野菜も積極的に使用して、酒に合う料理を提供しています。おすすめの日本酒は右から、「御園竹 濃醇旨口生酛原酒 蔵内生熟成」は美山錦100%使用し、とろりとした旨みで濃厚な味わい。「本醸造 若松」は本老の松で有名な東飯田酒造店の搾り立て無濾過生原酒。「木曽の桟 特別純米酒」は老舗蔵元の西尾酒造製。飲みやすい爽やかな辛口です。
ピアノがある居酒屋
店内にはグランドピアノが置かれ、店主が集めたさまざまな器が棚に並んでいます。シックなテーブル席でくつろげそうです。
バラエティに富んだ酒が揃う
右から、「善哉 上撰」、「積善 純米酒」、「北信流 特別純米酒」、「神渡 純米旨口」。珍しい地酒があることも。

酒と器 押上文庫

住所 東京都墨田区押上3-10-9
電話番号 03-3617-7471
営業時間 平日18:00〜24:00 土曜16:00〜24:00 日曜、祝日16:00〜23:00
定休日 月曜日
アクセス 押上駅(スカイツリー前)から徒歩8分
座席 テーブル20席、カウンター3席
篠ノ井出身で実家が松本市の店主・竹下文庫さん。ピアニストでもあり、今もピアノを教えています。音楽と日本酒と器をこよなく愛する若い店主。

信州酒場 ことだま(高円寺)

さまざまな業種の店が軒を連ね、古き良き昭和の雰囲気が残る高円寺中通商店街。その中の小さなビルの2階に「信州酒場 ことだま」があります。上田市出身の黒岩小和さんが2017年に開いた郷土料理と日本酒の店です。黒岩さん自ら試飲して美味しいと思った長野の日本酒を常時5種類ほど揃え、季節によっては長野の農家直送の新鮮野菜を使った家庭的な郷土料理を提供。食事メニューも充実しているので、お酒だけでなく食事もしっかりしたいという人にもおすすめです。女性店主ならではのさりげない細やかな気遣いとほっとする雰囲気が心地いい店です。

上田のご当地料理、美味(おい)だれ串焼き(豚バラ、鶏むね、野菜2種)、信州太郎ぽーくのスパイシーもつ煮込み(奥右)、旬野菜のくるみ和え(奥左)は長野産のくるみを使用。日本酒はグラスで提供。右から、「黒松仙醸 こんな夜に 鹿 特別純米」は長野県産ひとごこちを使用、柑橘系の香りが特徴です。「本金 すっぴん太一 本醸造無濾過生原酒」はすっきりした味わいです。「信州亀齢 純米吟醸 山田錦」は上品な香りと米の旨みが口中に広がる逸品。
アットホームな雰囲気
全16席のこじんまりしたお店。カウンター越しの店主との会話も魅力のひとつです。弾き語りや落語などのイベントも開催しています。
美味だれ串焼きに合う
右から、「十六代九郎右衛門 特別純米 ひとごこち」、「松尾 特別純米 信州長野」、「夜明け前 特別本醸造 辰の吟」。

信州酒場 ことだま

住所 東京都杉並区高円寺北3-16-2 生活の花B館202
電話番号 070-5464-5108
営業時間 平日18:00〜25:00 土・日曜、祝日18:00〜24:00
定休日 木曜日(不定休)
アクセス JR高円寺駅から徒歩3分
座席 座敷4席、カウンター8席
店主の黒岩小和さんは、演劇ユニット異魂(ことだま)で舞台を中心に俳優・希久地沙和として活動しています。店には俳優仲間も訪れるとか。

地酒ミュージアム 信州おさけ村(新橋)

JR新橋駅前で長野の地酒を気軽に立ち飲みできるスタンドバー。昼間は馴染み客や一見さんが一杯やりにふらっと立ち寄り、日が暮れるとともに仕事帰りの会社員でカウンターが埋め尽くされる人気店です。「日本酒の好みは十人十色。さまざまな味のタイプが揃う長野の地酒を色々と試して欲しい」と、県内各地の蔵元から常時100銘柄をセレクトし、月毎に入れ替えて提供しています。また、充実した飲み比べセットでお気に入りの味を見つけられるのもここならでは。小さいながらも銘酒を造る蔵元の銘柄や都内では出合えない県外不出の銘柄が登場することもあるので、まめに店に足を運んでみましょう。

店長の鈴木さんの目利きで毎月組み合わせが変わる地域別セット550〜750円。「北安曇・大町」、「長野・上田」、「佐久」、「松本」など8つの地域セットが揃い、3銘柄を飲み比べできます。店内の壁に貼られた長野県の地図で地域を照らし合わせながら味わうのもおすすめ。酒の肴は、右からトロトロに煮込んだ馬のもつ煮のおたぐり、ピリリとした辛さが伝わる野沢菜わさび風味。家庭的な郷土の味に日本酒がぐいぐい進みます。
新橋の名物スポット
日本酒のラベルが壁一面に飾られたカウンターだけの店内。隣り合わせた客が肩を並べ、和気藹々とした雰囲気で日本酒を味わえます。
ギフト選びにもおすすめ
昭和30年代に長野県酒類販売(株)直営の酒販店として創業。店の奥に併設した酒販コーナーで気に入った銘柄を購入できます。

地酒ミュージアム 信州おさけ村

住所 東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館1F
電話番号 03-3572-5488
営業時間 11:00〜22:00(21:30LO)、土曜11:00〜19:00(18:30LO)
定休日 日曜・祝日、第2・3土曜、第1土曜(6月より)
アクセス JR新橋駅汐留口より徒歩1分
座席 カウンター30席(スタンディング)
「長野は蔵元の数も多く、バラエティに富んだ地酒が揃っています。その美味しさにぜひ触れに来てください」と店長の鈴木昭夫さん。